医療翻訳の仕事についてから1年後のまとめ

翻訳

社内翻訳者として医療翻訳の仕事に就いてから1年が経ちました。

私が扱っているものは、文献や症例報告が主で、和訳と英訳の両方があります。翻訳の仕事ってどういうものだろう、と期待と不安を抱えて入社したのが1年前。この1年で知ったことを記録しておこうと思います。

翻訳界すべてにおいての話ではなく、あくまで私の所属する会社の話ですので、ご了承ください。

その1 日本語好きは意外と個性になる

私は大学卒業まで国語がとにかく好きで、大学の専攻も国文学でした。日本語が1番好き、英語は2番目でした。留学もしたことがありません。

これは私にとってコンプレックスとまでいかなくても、弱点かなと思っていました。英語学校に通っていたころから今まで、周りには海外留学どころか海外で育ったり働いたりしていた人たちが当たり前にいましたから。

だから、仕事に就いたらとにかく吸収して早く上達しなければ、と焦っていたのですが、思いがけず、「和訳がきれいだ」と誉めてもらえることが何度もありました。これまで国文科出身と言うと、「なんで翻訳を?」と不思議がられるケースが多かったので、「ああ、だからきれいな訳が書けるのね」と、肯定的意見をもらえたのはとても嬉しかったです。

大学生の私よ、宮沢賢治でも京極夏彦でも、心おきなく読み耽るがいいよ。

その2 とはいえ、土台のしっかりした英語力は必須

その1で書いたように、もともと英語力には自信がなかった私ですが、やっぱり苦労しています。文法が思ったよりあやふや、ボキャブラリーが少なくて同じような言い回ししかできない、言葉のコロケーションが分からない。

先輩たちの言い回しを盗んだり、洋書を読んだり、文法書をやり直したりしていますが、まだまだ勉強不足だなと思います。

その3 医療のバックグラウンドは必須ではないが、ないとやっぱりしんどい

私は医療のバックグラウンドがほぼありません。以前、別の会社で医療機器の品質検査をしていたくらいです。

特に困るのが、臨床検査(CTや心電図など)結果の説明です。イメージがわかないので、ひとつひとつをネットで調べて、訳文に矛盾がないかを確認するのですが、なかなかピンとこないことがあります。

専門書を読むようにしていますが、一朝一夕では身につきません。そういえば、最近になって「きょうの健康」を読み始めました。読みやすくて幅広い知識が入手できるので、重宝しています。

医者並みの知識は必要ないですし、調べたら分かることもたくさんあるので、訳すのが無理とまではいきませんが、ある程度の知識はあったほうが絶対良いです。訳すスピードが違ってくるので。

その4 ITは味方かもしれない

ITが今以上に翻訳のスキルを上げたら、仕事が奪われてしまう・・と、戦戦恐恐としていました。実際、仕事でもIT翻訳を使っています。

でも、まず確認したのが、ITには得意分野と不得意分野があり、ITに任せられる部分は限られていること。例えば、ある程度かちっとした定型文の多い文章なら、ITが8割方きれいに訳してくれるのですが、フリースタイルで自由に書かれた文章は、人間の手直しが必要な部分が多くなってきます。

そんなわけで、定型文の多い文章はITに手伝ってもらいます。すると作業スピードが上がり、その分調べものに時間のかかる別の案件に時間を割けるようになります。最初はロボットなんて・・と抵抗感があったのですが、徐々に仲間のように思えてきました。

その5 顧客によって訳文のスタイルは変わる

翻訳学校である程度勉強していたので、文章のスタイルは大体把握していました。でも、訳文を依頼してくる顧客によって、さらに細かいルールが指定されます。推奨される言葉、避けたほうがいい言い回し、薬剤の表記は英語かカタカナか・・などなど。

また、質とスピードのどちらを重視するか、ということでも変わってきます。丁寧な訳文に仕上げてほしいという方もいれば、意味さえ把握できればいいから早くちょうだいという方もいます。

完成度の高い訳文を作ろうと意気込むと、肩透かしを食らう可能性もあります。ちなみに私のいる会社ではスピード重視なので、あまり訳文を練ることはできません。

以上、現時点で確認したことを記してみました。もし興味があることがほかにありましたら、分かる範囲でお答えしますので教えていただければと思います。

まだまだ駆け出しの翻訳者なので、今後とも必死で学んでいきます!

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